日月星辰ブログ

Vive hodie.

読書感想 永倉新八「新撰組顛末記」

永倉新八新撰組顛末記」

あとであれこれ脚色や小説的想像はなされ、今一般に流布して愛されている「新選組」とはまた印象が違う感じがする。一つところに何人も剣の腕に覚えがあって志のある男どもが押し込まれて、厳しい規律を守り、制服をきて、っていうところが「もえー」なら修道院だってもえーだろうに。芹沢鴨の乱暴狼藉やらかし事件の証言もしているが、これはもしかしたら当時からみんな知ってることだったのかもしれない。だから、インタビューする人が水をむけて、永倉はそれに応えると言うか。
 金貸しに迷惑をかけ、女郎の髷をちょん切り、お相撲さんを切り殺す、マジで悪役非道。同情の余地、ないんですけど? 永倉さんもあるときは一緒になってやっているのでことさらに非難がましいことも言わないし言えない。そりゃー、女郎の髷切ってたもんねえ。
 一面で、将来どっちが「正しく」なるかもわからない時代に、あくまで現状の政体に忠誠を捧げ、それに準じて散っていくと言うのは好きな人は好きなのかもしれんねえ。ただ、Twitterにも書いたけど、これ読んだ後になんとなく新撰組の各氏にほのかな親しみは湧いたので、「肉声」というのはその善悪を問わず、世に知られれば名誉挽回の一助にはなるのかもしれない。