読んだ本の感想も差し置いて、ついでに言えばまだ岸辺露伴の感想も書いてないけど、神宮の観戦記を書く。
神宮球場、正式名を明治神宮野球場、という。六大学野球の舞台でもあるので一度行ったことがあるが その頃はあんなに素敵な球場じゃなくて、外野に座席すらない場所があった…ような気がする。記憶が曖昧である。
お友達のスワローズファンの方と待ち合わせた。最寄りの信濃町駅からしてスワローズ仕様になっている。
アトレ内に神社がある。
どうしても行ってみたかったつば九郎ハウスへ。
つば九郎の人となりが随所ににじんでいるかといえば、どちらかというとリビングまでは普通にチームのプロモーション色が強い。チーム応援の象徴となる傘や、歴代選手のサインボールの展示、だまし絵的な写真が撮れる「網走ビール」とのコラボ壁画、モニタで流されているのはチームプロモーション映像。ここまでは特段の驚きはない。
つば九郎ハウスの神髄はむしろ、彼の私室にあると思われる。1960年代ぐらいに生まれたおっさんをほうふつさせる私室…つば九郎さんのツバメスメルが立ち込めんばかりの作りである。おそらく、ちょっと香ばしい、インコの体臭をさらにワイルドにした感じの。
つば九郎ハウ巣を出ると、すぐお向かいにオフィシャルグッズショップがある。そこで村上宗隆選手のタオルとつば九郎のぬいを買った。ショップを出たところには「網走ビール」の出店もある。さすがに入場時間すら前だったので買わないでおいたがちょっと後悔。網走以外で網走ビールを生で飲めるなんてなかなかないですからね。
ヤクルトスワローズはおなじみの縦じまのユニフォーム以外にも、黄緑色と青がチームカラーらしい。こっちは目立つが、公式戦などで着るにはちょっと目立ちすぎる。
ちょっと早いよね、と思いながら場外のフードなどを買いつつ会場を待っていたら、なんだか70代くらいのおじさんにやけにじろじろと見られる。だしぬけに「それ一つちょうだい」とか言い出す。私が持っていたのは内山選手プロデュース「ウッチーズポテト」だ。ヘルメットをひっくりかえした中に、フライドポテトチーズがけが入ってるやつ。
ビジュアル的にアピール満々ではあるが、さすがに。おっさん、子供か。
自分で買いなさいよ。向こうで売ってるから……
たとえ可愛らしい五歳の少年にたかられても同じ塩対応をする自信がある。五歳だろうが65歳だろうが赤の他人にポテトをたかるとはなかなかのハートの持ち主だ。なんとなくぬらりひょん的な愛嬌を感じる。
会場にはものすごく早く入れてしまった。中にも物販がたくさんある。燕党ファンのお友達は「いうて銀だこ」と言っていたので、銀だこでたこ焼きを買った。それから、唐揚げ「じんから」がとてもおいしかった。
これはウッチーズポテト。
球場でいつも困るのは、いざ席を外そうとするときにアワアワしちゃうこと。三時間を越す長丁場となりがちな野球観戦で、途中トイレ休憩は必須だが、フードだのなんだのがまだ残っているとうかつに席に残しては出ていかれない。戻ってきたらビールがかかってるかもしれんからね…。
お友達のご好意でかなりよい席だったので、前回の「ビジター外野応援席」よりもずっと過ごしやすかった。ビールも頼んじゃったもんね。
試合は惜しくも負け。どうもヒットが得点につながらない辛い試合だった。あまりに試合が長引いたら帰りにくくなる、とお友達が心配していたが、なんとかタイムリミット前には終わった。逆に言うと、後半はわりとあっさりした試合になってしまったと言うことだ。
ヤクルトのクラブハウスはみんなが駅へと帰る道の途中にあるんだよ、ということをお友達に教えてもらった。
「村上が打てなかった時さ、ガチファンのおっちゃんが『出てこいこのやろー!』って」
齢23にしてそんな、為政者みたいな体験しとるんか。いろいろすごい。
いや、村上さんには頑張ってほしいんですよ。
才能を遺憾なく発揮した彼がにこにこしててくれることを祈った。