日月星辰ブログ

Vive hodie.

読書

読書感想:松本清張「偏狂者の系譜」3

表題作がいかに良いかを書き殴る回。その2。 それほどネタバレでないのでワンクッションはやめる。ひとつずつ丁寧にやらないと気が済まない。 2、皿倉学説 これまた最高。今年65歳になる退官した医学部教授・採銅健也。採銅なんて姓が実在するのかは知ら…

読書感想:松本清張「偏狂者の系譜」2

表題作がいかに良いかを書き殴る回。その1。 以下ネタバレ。

読書感想:下村敦史「サハラの薔薇」

サハラ砂漠といえばイメージとして「荒涼たる乾燥地帯、砂の大地」であろう。それと「薔薇」という瑞々しい植物のイメージのアンビバレンツが、このタイトルの洒落たところなのだろうが、私はすでに「ローズ・ド・サハラ」という石のことを知っていたので、…

感想「街とその不確かな壁」(ねたばれ)

少し前に読み終わったので書いておく。ほぼ自分のための備忘録である。 ねたばれ。

読書感想 辻真先「馬鹿みたいな話! 昭和36年のミステリ」

8月は駆け込みで6冊。9月月初は軽めのミステリから。 辻真先の健筆は健在で、先日やっていた「ルパン三世」でもシナリオを担当されるなどもはや驚異的なのだが、昔アニメ作品の第一話といえば大体辻真先脚本、遡ればNHKのテレビ部門の創成期のスタッフだっ…

読書感想 永倉新八「新撰組顛末記」

永倉新八「新撰組顛末記」 あとであれこれ脚色や小説的想像はなされ、今一般に流布して愛されている「新選組」とはまた印象が違う感じがする。一つところに何人も剣の腕に覚えがあって志のある男どもが押し込まれて、厳しい規律を守り、制服をきて、っていう…

読書感想 橋本治『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』

橋本治『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』 ばきばきの名文家であることはわかっていながらなかなか読めていなかった橋本治。いつか遺作となった超分厚い本を手に入れたいが、その前に「仕事」に一礼しないといかんだろうと。三島由紀夫は「三島由紀夫…

読書感想 野村二郎「君も法律家にならないか」

野村二郎「君も法律家にならないか」 法律家を目指す人々のために、法曹界の3つの職種・・・弁護士、検事、裁判官・・・この3つは司法試験に受からないとやれない。当然——の職務について、どのような使命があり、具体的にどういう仕事があり、そしてどうい…

読書感想 開高健「声の狩人」

開高健「声の狩人」 開高健のファンではあるものの、全集かっちゃおうかな、って10年ぐらい言い続けてまだ買ってない不貞のファンである。全集は高いし部屋が塞がるので躊躇しちゃうよね。この岩波新書のルポルタージュも読んだことなかった。近くの古本屋…

読書感想 中川右介「プロ野球「経営」全史」

8月に読んだ本を時系列で淡々と上げていきます。 ずっとじわじわ読んできたのが読了が8月。ぐいぐいと自分を出していく人々によって右に転がされ、左に転がされしてきたプロ野球球団たち。私の記憶に残っているのはホリエモンによるバファローズ買収未遂事…

木村清孝「教養としての仏教思想史」(ちくま新書)感想

数年前のギフトショーで新書の用の革カバーを買って、名前まで入れてもらった。これをなんとか有効活用できないかというのと、やっぱり概論を手っ取り早くと言えば新書でしょうね…という気持ちと、家の近くの本屋が閉店するため、なんか記念に一冊つれて帰ろ…

ペテルブルク文学の源流 散策探訪コロムナ

未知谷という名前の出版社がある。 WEBサイトがすごいのでみて欲しい。 www.michitani.com 概要欄に書いてある通り、ニッチなテーマの書籍を多く扱っている。比較的ロシアに関する本が多いような気がする。 前にもこの版元の本を手に取り、読んだことがある…

酒井健「バタイユ入門」

1996年発行の本。今はまたさらに研究進んでるんでしょうかバタイユ。 三島由紀夫が推し作家・思想家として紹介しているせいか、日本での知名度がわりとそこそこ(だとおもっている)、バタイユ。フランス本土では今ひとつ、というのがこの著者の認識らしい。…

感想:「聖なる陰謀 アセファル資料集」ジョルジュ・バタイユ マリナ・ガレッティ編(ちくま学芸文庫)

文庫は文庫でも価格も高いし読み出があるシリーズと言えばちくま学芸文庫と講談社文芸文庫、同社学術文庫、岩波文庫あたりだが、その中でもなんとなく本棚の占有面積が広いとかっこいいみたいなのがちくま学芸文庫だと思う。うわ何このめっちゃバカっぽい書…

読書日記:「サンクト・ペテルブルグ」(小町文雄/中公新書)ロシア皇帝暗殺事件があったあの街はどんな街だったのか

ゴールデンカムイにはまってから、アイヌ文化関連に興味が出た、という人は多いだろう。私も御多分に洩れずその口で、北海道には何回か行ったし、その度にアイヌ関連の展示がある博物館に行ったりした。本州でもアイヌ関連の展示がある場合は、足を運ぶよう…

読書日記:土屋隆夫「判事よ自らを裁け」社会派と見せかけて男女のドロドロした情念がエッチな緻密ミステリー

時折、家になんで買ったのか分からない本があることがある。 この本もまた、そういう経緯で出現したもののような気がする。 大学時代、推理小説同好会のようなところ(のようなところ、などと迂遠なことを言わずとも、まあそうだった。ただ、「推理小説同好…

読書日記:「サイコパスの真実」(原田隆之)

Kindleでちくま新書フェアをやっていた時に破格の割引がかかっていた中の一冊。「情報生産者になる」「アイヌと縄文」などもこの時に買って読んだが、本書は「犯罪心理学」の部類である。 余談であるが、kindleの不便なところの一つに、本であれば必ずどこか…

読書日記:「オオカミ その行動・生態・神話」(エリック・ツィーメン/今泉みね子訳)

三年ほど前に買ってそのまま本棚にしばらく挿さっていた本なのだが、書いてある内容が四〇年ほど前の話題なのでおやと思って表紙をよく見たら「新装版」とあった。旧著の装丁差し替えでまんまと読んでしまった。 なぜまた、白水社がこの本を最近になって復刊…

読書日記:「千の顔を持つ英雄」(ジョーゼフ・キャンベル)

早川書房の文庫から、新訳が出ている。 ジョーゼフ・キャンベルの本書といえば、二言目には「ジョージ・ルーカスに影響を与えた」ということらしいが、そういうふうに言われると「ラノベの書き方講座」みたいなものを想像してしまってげんなりする(のは私感…

読書日記 おにんぎょうさまがた

最近は、本を読む、となるとなんだか一大事業のようになってしまう。 もともと黙読ができない質である。と言っても、中世の修道僧みたいに、声に出して読んでいるというわけではない。頭の中で音を想像しながら読んでいる。こういう人は読むのもあまり早くな…

読書日記 「2666」

半年ぐらいかかって、ようやく「2666」を読み終わった。 半年と言っても、実際に読んでる日の計算で、Twitterを遡ったところ購入したのは2017年3月だった。なんとか4月17日までは途切れ途切れながら読んでいたらしいが、その後長らく「積読」状態であっ…

ジョン・バカン 三十九階段

タイトルから勝手に、セバスチアン・シャプリゾの「シンデレラの罠」みたいなサスペンスミステリっぽいものを想像していましたが、野原を転げ回ったり、変装したり、納屋を爆破したりするわりかしに愉快なやつでした。 暗号の書かれた黒い手帳、怯えきって転…

抜け殻

あれほど時差ボケには気をつけていたのに、やっぱり軽い時差ボケになった。 しかし密かに、いきなり会社に行って置いてよかった、と思った。もし一日休んでいたら絶対に、間違いなく寝こけて一日が終わってしまい、多分時差ボケはより一層ひどくなっていたに…

開高健 裸の王様

ゲストハウスの心地よく秘密めいた場所で読むのなら、といてもたってもいられずに閉店間際の京都タワーの三階の本屋で、開高健を買って来ました。うん。ほんとは「生物としての静物」が欲しかったんですよ。何の気まぐれか、高校生時分の私が、まだ創業して…

張遼 第5章

いいかげんひつこい。でもやる。

もうおなじみになりつつある

「張遼」第3章。官渡の戦い、と言うだけあって、官渡盛りだくさん。なんだか蒼天航路だと李典あたりが怒髪天を突きそうな。

また変な時間に更新

「張遼」第2章。

すごい本をみつけてしまった…

検定の実施された大崎で、すごい本を見つけてしまったので速攻買いました。即買いです。PHP文庫 桐谷正著 『張遼』です。 張遼好きは買うと良いよ。 取り急ぎ序章→一章を読みました。一章ずつ感想書けばいいんじゃないかな? ってMさんに言われたので、…

アンナ・カヴァン。…お風呂で読む作品じゃないってコトだけはよくよく分かった。

「ムントウリャサ通りで」

ミルチャ・エリアーデ。「若さなき若さ」インパクトから約1ヶ月後。