日月星辰ブログ

Vive hodie.

オードリー・ヘップバーン

観賞日:5/6 10:10の回

ジャンル:ドキュメンタリー映画

 

ローマの休日」の華々しいデビューから、遡って幼少期、「ティファニーで朝食を」「マイ・フェア・レディ」などでキャリアを積み上げていく過程、ビジネス上やプライベートでのパートナーのこと、結婚のこと、子育てのこと、ユニセフの広告塔としての姿、そして死のこと、と考えうるだいたいのトピックをなぞっていく構成。

出自がオランダの貴族のお母さんと、オーストリア・ハンガリー帝国の外交官の家系で、後に黒シャツ隊に入っちゃったファシスト(映画上では糾弾のニュアンスは無かったが、みている私は「ファシストじゃん…」って思った)のお父さん…オードリー自身は戦争の混乱に翻弄されて「チューリップの球根まで食べた」と言ってたそうだけども、物事を極めて単純化しようとすると、父親が同調したファシズムの超親玉、ナチスの横暴でオードリーは飢え、生育不良からバレエダンサーの夢を諦めた--ように見えた。皮肉すぎるが、そもそもこの父親、オードリーが世に出たあとも無視を決め込んでいたようなので、もとより愛などなかったのか。

両親の離婚の原因はよくわからなかった あるいはそれほど印象に残っていない。オードリーは父を慕っており、かれが家庭から出て行った時にはショックを受けた、と言うことだったけれども……。

オランダでは少女だったオードリーも反ナチパルチザンに密書を届けたりしてたそうである。親子で政治信条が引き裂かれている。

まあその辺りは割とサラッと流しつつ、(それでもそのトピックは初めて明かされたものだったのかもしれない)ハリウッドで意思を保ちながら女優としていかに奮闘したのか(「ムーン・リバー」を歌うシーンをカットされそうになったときに猛抗議したとか)、キャリアを惜しむこともなく子育てのために仕事を休んだとか、そう言う話が証言や本人の声とともに編まれていく。

 

オードリー自身の仕草や表情の美しさ、特にスクリーンの外でのそれ--には女性として以上に、人間としての神々しさすら感じた。ふとした視線の先に笑顔を一瞬たりとも惜しまない。幼少期の苦労だとか他のもろもろとか、そんな情報がなくてもそういうオードリーだけをずっとみていても得るものが大いにあった。