日月星辰ブログ

Vive hodie.

会社全体の雰囲気は依然としてどこかちょっとまったりしている。社員は半々で交代に出社している。

午後に社長が社内をぶらりと散歩しにきた時も、「仕事になってるか?」などと言っていた。隣の部署は「電話がこない」とぼやいていたが、うちはメールでもなんでも。

 このところ、就職斡旋屋から頻々と電話がかかってくる。新規採用を取りやめる会社が多いのだろう。うちはもともと、かれこれ10年ぐらい新規採用してないんですけどねー。入れ替わりの激しい部署にたらいを回して、お茶を濁している。ちなみに人事部はない。ということはあの呪文「人事部御中」が使えない、ということなのだ。資料請求葉書に何度となく書いた「人事部御中」が。

 かつて、就職活動をしていた頃、いくつかの会社に「人事部御中」の葉書を出していたときに、後ろから覗いてきた父が「ジンジブオンチュー」とボソリと呟いたことがある。そういうテレビのギャグは知らなかったし、父などもっと知らないと思うので、一体どこのネタだろうと気になって、今でも覚えている。もしかしたら、父の会社の内輪ギャグだったのかもしれない。

 父は私とは違って旧財閥系の大きな会社に勤めていたので、何万人という「同僚あるいは上司あるいは部下」に囲まれて生きていた。そうなると会社も一つの街である。内部に文化があってもおかしくはない。飲み会などで「ジンジブオンチュー」ネタが鉄板だったのかもしれない。または大学内のネタかもしれない。ちょっと、クレイジーキャッツのサラリーマンねたを思わせる由緒ありげで趣深い響きがある。ヴィンテージだ。

 私が入社してから、現役の社員が亡くなるという不幸が三度あった。もし、人事部があったら忙しかったろうな、と思うのだが、多分社長が何もかも万事良いようにしてしまっている。皆、社長より若い世代だった、というのも悲しい。

 先だっても一人、大きな要になっていた人物がいなくなってしまった。社内で交流がない人がいないほど、面倒見がよく、存在の大きな人だっただけに、まだいなくなったという実感がない。今日も他の社員の人と、「まだ実感がない」という話をしていた。

「今はちょうど、コロナで人が来てないじゃん。何もかもが治まって、万事良いようになったらひょっこりと、何事もなかったかのように復帰するんじゃないか、って心のどっかで思ってる」と言っていた。

 そうだったらどれほどいいか。ほら、志村けんもさ。こんなご時世だから、家にいるだけなんじゃないか、って。今のバラエティ、いうてもタレントほとんどリモートか録画じゃん。治まったら出て来そうな気がするんだよね、と。

 

 万事が良いようになったら。

 

f:id:lubu:20200603221332j:image

今日はマーボナスにした。