日月星辰ブログ

Vive hodie.

ここんところで一番ぐっときたレビュー…がちょうゆうめいブログにあったので。

404 Blog Not Found:大人必見、子供禁見 - 映画評 - The Dark Knight

そして Dent も Gordon もそして Batman も「勝てなかった」 the Joker に「勝った」のは誰なのか。

それを見落としてはならない。

ぐっときた。
全体に漂うやりきれなさの正体が、こうもあっさり、言い当てられていますと、こうして向こう見ずに引用の一つもしたくなるほど。

以下また華麗にネタバレ。






「普通であること」と「狂っていること・極まっていること」の対比でも読み解ける、という視点に、そりゃあもうロープを引っかけられてひっくり返されたトレーラー並にくるりと一回転腑に落ちました。
 正常であることと狂っていること、の対比は、きちんと作中にちりばめられていました。
 うん、それで、デントが「Two Face」であることも意味が出てくる! 正常から狂気の世界にコンニチハしてしまったのが、デントということになりますね。
 その符丁は、かなり意図的に、初めのシークエンスにも織り込まれてたことを思いだしました。「死ぬような目にあったものは、狂う」とかいって銀行屋さんの口に手榴弾をくわえさせるジョーカー。そもそもジョーカーというキャラクターを押し出す際に、狂気ってすごく大事なキーワードだったじゃないか!

 その対極で、まさに「ジョーカーが叶わなかったもの」ってもしかして、日常、とか安定、とか、変化を嫌う心、とかそういうものなのじゃないかしら。朝起きて、歯を磨いて、ご飯を食べて、…という一連の日常。
 「日常」という軸が発生すると、バットマンも、ジョーカーもアチラの方になっちゃう。
「おれもお前もフリークだ・一緒にアーカムに入らない?」っていうジョーカーの台詞のとおり。

 突出した行動の選択を突きつけられた時にふいとよぎる不安とか、躊躇。良かれ悪しかれキワだった人間を見るときの世間の残酷な、視線。
 最後のシークエンスでのバットマンの逃げ方は、きっと、奇妙に痛々しい、異形の己を恥じるようなものだったに違いありません。