日月星辰ブログ

Vive hodie.

大江戸温泉までチャリで来た。

7月10日、まだ梅雨明け前の土曜日の話だ。

朝起きると梅雨時には珍しくいい天気だったこともあり、隔週で行っているリュートのレッスンに行ったまま、大江戸温泉物語でやっていたゴールデンカムイコラボイベントに行ってみようと思い立った。

オタクの友達にも色々な段階があると思うが、スーパー銭湯めいたものに行きたがるお友達に心当たりがなかったので、一人で行くことになる。となれば、なにか無茶な付加目的をつけたって悪くはなかろう、と割と安易に考えた。友達にいきなり、練馬からお台場までチャリでいこうぜ、というのはなかなかうんといってもらえる確率が低い。大江戸温泉物語ゴールデンカムイコラボにうんと言ってくれる友達に心当たりがないくらいなので、さらにハードルが高かった。

そもそもたぶん、ガチのサイクリング勢と行動を共にしたところで今度はそちらとペースが合わないのは自明である。出勤時に多い時は毎日、愛車のクロスバイクを飛ばしていたが、普通のママチャリ爆走男に負ける。スピードを競うわけではないのだから飛ばさなくたっていいようなものだが、自転車のツーリングとなるとあまり同行者の足を引っ張るわけにもいかない。

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目的地はここ。

 

仕方がないので単独走行なのだが、これを実はそれほど悪くない。キャッキャウフフ的な楽しみはないものの、ストイシズムは堪能できる。途中お腹が減ったり喉が渇いたりしたら都度都度店に寄るのも自由である。究極の自由とは孤独なのだ。

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行きは新宿を通って靖国通りから皇居を目指し、湾岸副都心に入るルートを選択した。梅雨でもあり、蔓延防止法発令時でもあったので、人通りは少なく、走りやすかった。途中目白を抜けるときに無意味にクソ高台の高級住宅街に入ってしまった他は、概ね快適なサイクリングである。高台に立つ高級住宅街の意味がわからない。面倒なだけだろ。特に都内の場合はどこを向いたって徒歩圏内なのだから、坂で城壁を築く意味も不明である。バカとなんとかは高いところが好き、とかぶつぶつ呟きながら、Googleが確かに指し示す坂道を愛車を押して登った。絶対このうんこみたいな丘を避けるルートあったよね、Google。まあ、めんどくさいから調べ直さないけどさ。

(事実帰りはこんな思いはしなかった)

新宿を抜けて、東京の東南に降りてくると、じわじわと街並みと人々の様子が変わってくる。靖国通りを新宿の方から丸の内まで走ってみると市ヶ谷あたりでがらりと街の様子が変わる。ピカピカの道路、まばらな人影。銀座なんかが庶民的に見えるのが丸の内界隈である。皇居周辺は今でこそ表向きは民主的で皇居ランナーとか言って庶民が立ち入る括弧付きの憩いの場になってるようだが、使われている石材から遠目に見える前栽(ということばでまとめるほどささやかなものでもない!)の様子から、まあピカピカの特別あつらえである。国の中心、宮内庁御用達。

その、旧江戸城桜田門あたりで一服した。

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 午後2時ごろに目白を出たので、この写真は(多分)3時過ぎのものである。日の傾き方を見てもわりとそんなかんじ。道中写真をもっととればよかった、とあとでカメラロールをみて思ったが、自転車に乗っている間というのは走れるうちに走っておこう、みたいな気持ちになりがちである。

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 行きはとにかく汗が出る以外は概ね快適なサイクリングだったが、流石にお台場あたりで「まだつかんのか」という気分になってくる。特に、臨海副都心エリアは地味に坂が多い。島と島を結ぶ橋はだいたいゆるいアーチ状になっているためだ。そういうつくりにしなくてはならない理由みたいなものはきっとあるのだろうが、自転車で走っているとアーチこんちくしょう、という気分になる。この緩やかな丘のような坂道を、せっせとランニングしているひとも何人も見かけた。

 ただし見晴らしはものすごく良い。建物などの遮蔽物なしに海を見られる。男子二人連れがしきりと写真を撮っていたりした。カップルなのか友達なのかはわからない。

 

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これは仕込み。

 

 お台場にはオリンピックの選手村があるらしく、交通規制もあった。一番近いルートの橋が渡れず、迂回を強いられる。物々しく警備に立つ警官と、鳥籠みたいに囲われたサッカーグラウンドで練習に勤しむらしいどっかの代表チーム、それをフェンスに食らい付いてみる住人。全く興味がない。湾岸族の親子というのはもっとすかしてるもんだと思ってたら、あんがいミーハーに食らい付いている。

その時点で午後四時を過ぎていたので、じわじわと焦りもで始める。六時ごろには撤退して八時には家に帰りつきたいと思っていたので…(この目論見はあっさり覆される。無茶な予定は立てるものではない)。

 到着したのは午後五時少し前。「新型コロナウイルス対策のための入館制限」とやらで外に列ができていて、一瞬絶望したが、列は案外するすると動いている。並んでいるのはカップルばっかで居心地が悪い。サイクリングの途中にちょっと汗を流しにきましたよという体には、華やかにすぎる場所ではある。

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 オタクなので堂々と表の垂れ幕を撮る。私が行ったときは他の客は見向きもしていなかったので悔しかったので余計に撮る。

 

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 刺青が入っているキャラクターだから、というのでお風呂ゾーンには入れないという設定の浴衣白石。かわいい。

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 今回のコラボレーションではキロランケがいない。キロランケのいないゴールンデンカムイコラボなんて、アプリコットジャムが塗ってないザッハトルテみたいなもんだ。と思ったものの、キャラクター全員集合のポップなんかみると上がってしまって、写真はとった。

 

 入場の受付が済んだら浴衣コーナーで浴衣をレンタルできる。というか、レンタルすることが前提になっている。脱衣所の前に堅牢なロッカーコーナー(広い!)があり、そこにまず一切合切の荷物を預ける仕組み。「ここからは江戸時代だよ」というエクスキューズになっているが、中で盗難などを極力起こさせぬための工夫なのだろう。ちなみのお財布もここに置いておこうと思えば置いておける。中での会計はリストバンドですべて記録し、最後のチェックアウト時に精算するという感じである。スマホぐらいは持込可。私はそうはいってもと思って貴重品は持っていったが、ほんとうはここで預けちゃうのがスマートなのだろう。

 大江戸温泉のフードコートは、「フードコートであることのデメリット」を最大限感じさせないような作りになっている。日本の「屋台」やら「祭り」やらをイメージし、照明を暗めに落としたアイディアはフードコートの安っぽさを良い方向に修正している。これで照明がピカピカだったら郊外型スーパーのフードコートになってしまうところ、よく踏みとどまっている。

 

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 遊園地なんかもまあ、フードコート形式が一般的だが、アレのデメリット「なんとなく落ち着かない」が文脈化されている、というか。作り物は作り物なので、あくまで作り物同士を比べたいところだ。そりゃ台湾の夜市なんかのほうがよいのだが、フードコート同士のレースではぶっちぎりという感じである。今後もコンセプチュアルなフードコートはお流行りになっていくのであろうか。

 ゴールデンカムイコラボフードは「金塊ラーメン」と「白石由竹の子持ち昆布揚げ」を食べた。

 

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 金塊ラーメン。普通の醤油ラーメンに金塊にみたてたどでかい卵焼きがついている。

 シュールすぎて発案者はウイルク(アシリパのお父さん。めっちゃ頭がいいけどちょっと変な人)あたりなんじゃないかと思った。

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 子持ち昆布揚げは白石由竹が小樽郊外の海で作っていたおつまみものである。飲み屋にこれがあった場合は速やかに食べる。他にも鯨の竜田揚げなどを作っていた。鯨の竜田揚げもあったら絶対頼む。

 

 建物の中にはスーパー銭湯にはお馴染みの畳とちゃぶ台が並んでいる「休憩所」もあり、「ご宿泊・ご休憩」のための個室も用意されている。個室はあくまでファミリーのご宿泊を想定しているのだろうが、ここをラブホテルのように使うカップルもいるだろうな思った。ひとっぷろ浴びてしけこむにはラブホテルほどいかがわしい匂いもない。

 そういえばパセラが運営しているラブホテルもそういう感じだった。テーマパーク側に寄せており、利用時の背徳感?を減らしている?のかもしれない。付き合っているカップルがどこにしけ込もうが勝手にしろという気もするが、利用側にとってはそういう空気感って大切なのか?

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 パネルの白石を探せ! というイベントがあり、三人全部見つけたが、申請するのを忘れてしまった。いくら探しても初めは1体しか見つからず、昔スパリゾートハワイアンズに両親と弟家族で行った際に、姪っ子が迷子になったのを探しに行った記憶がよぎった。

「由竹ー! 由竹ー! 帰ってらっしゃい」

 という叔母の気分である。

 二体目が見つかると割とすぐに三体目もみつかる。お風呂に入れないからって館内をちょろちょろしている設定なのだろうか。かわいい…

 

 お風呂を小一時間楽しんだ後、フードコートをもう一回りし、何か食べたいような気はしたが結局やめておいて、白石のアクスタと湯煙缶バッジなどを買った。

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 絵柄が変わるっていうからちょっと期待したけど、湯煙が立つだけ。可愛いからいいけど。

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 せっかくお風呂を浴びてさっぱりしたが、ここから再び「復路」である。ただ、辿り着いた際にヘトヘトだった気分は幾分回復している。「やったろうか」という気持ちにはなった。21時にお友達ともくりで集合の約束なので、21時までには帰り着きたい。出発は19時ごろだったかと思う。

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 Googleマップでは1時間、という見積もりの道のりなので、まあなんとかなるだろう、と思ったのだが。

 走れども走れどもたどり着かん。まず、都内は信号が多すぎる。ちょっと行っては止められる。三分の信号でも10回止まれば30分である。まあそれゆえに連続して走らなくで良いので、身体的には幾分楽ではある。帰路は急勾配の坂道はさけ、なるべく大通りで帰るようにしたものの、遠い。

 ついには江戸川橋あたりで豪雨に振り込まれる。防水の自転車バッグをつけて行ってよかった。ぽつぽつきたあたりで覚悟を決めて、荷物の一切を自転車バッグに移してひたすら漕いだ。街が川の中のようである。頭から爪先までスポンジみたいにずぶ濡れになり、帰ってすぐにシャワーを浴びたので、30分ぐらい遅刻してしまった。

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 トータル走行時間は5時間ほどになったか。それであすけんに登録したら消費カロリーが1800キロ越えになった。まじかよ。