日月星辰ブログ

Vive hodie.

すごい本をみつけてしまった…

検定の実施された大崎で、すごい本を見つけてしまったので速攻買いました。即買いです。

PHP文庫 桐谷正著 『張遼』です。

張遼好きは買うと良いよ。
取り急ぎ序章→一章を読みました。一章ずつ感想書けばいいんじゃないかな? ってMさんに言われたので、そうします。


しかし、まあ媒体とかいろいろ見るにつけ、ああ…、という感じは否めなくもない。陳舜臣の書いた張遼とか、司馬遼太郎の書いた張遼とかじゃないのは確かです。
序章が合肥三将の出陣風景な感じで、しかも麾下八〇〇名に牛を屠って与える云々というところを描いているのですがこれがまあ、野獣のようです。生肉を喰らい血を啜る麾下八百名。まあそれはそれでいいです。可愛くていいんじゃないかな。当時の馬邑の人がどんだけ鮮卑のことに詳しかったかは想像するしかないですが、鮮卑のことに詳しい、というスタンスはまあいいです。
でもそれをまるで張遼独特の為しよう、みたいに書くのはいかがでしょうか。甘寧も寡兵で出陣するにあたり、おなじような事をしてるんですし。このころの武将達の慣例だった、と見るべきではないでしょうか。牛の血を啜る、という作法は、牛耳の儀式にも見えますし、多分、中原でもさほど珍しい事じゃないんじゃないかなー…なんて思いました。まる。
まあそんな細かいことは良い。
血気盛んで空恐ろしい八百騎を睥睨する張遼楽進と李典、という絵が脳裏に浮かんだだけでもうはあはあです。もえます。

第一章。
要約すると、関さんが孫子の力を借りて張遼を籠絡する→張遼張遼で馬術でみんなをびっくりさせる、みたいな地位確立編。張遼の独特な馬哲学とか可愛すぎる! 「馬の心を読め」とかいきなりレベル高いことを言い出す。可愛い。
あと勉強熱心な張遼ね。関さんから曹操集注の孫子借りて夜中まで読むとか、わかんないところあったら関さんに聞きに来るとか、もういろいろやばいです。蒼天の絵で想像してご覧よ、萌えるから。
あと曹操様がすごく大人物です。こんなに大人物に描かれた曹操様も珍しい。蒼天の曹操様はカリスマだけど性格に多少の難があるからなあ…大人物じゃないよなあ…。
いっぽう。
下ヒ落城から張遼帰順まで。呂布の書かれっぷりがあまりに悪い子で可哀想でした。籠城中に夜中まで酒と女にうつつを抜かすとか、捕縛されたあとのみっともなさぶりとか、張遼も酷い。まるで成り行きでしょうがなく呂布についていた見たいないいかたをして…。呂布報われない! あの人中の呂布が!
違和感と言えば、劉備がまるで、曹操様とラブラブなうえに何の意趣もなさそうなところも大概違和感でした。捕縛された張遼を「貴方がいらないなら私の部下に」とまで言っておいて、ほいほい関羽まで使って曹操様に帰順させるとか、違和感を禁じ得ない。あれじゃあ関羽さんは誰の部下なの?という感じになってしまいます。まああのころの劉備に、張遼以下数百騎を養う財力がなかったということであればそのあたりはまあ仕方ない気がしますが。
あと関さんの曹操様ラブぶりとか、良いんですかそんなに持ち上げてという感じがしなくもないです。このシーンの関さんは総じて、あんた誰の部下なの的なふわふわぶりを感じます。劉備さんに言及無しかい。そうかい。ってきっと三国志ファンは思うと思う。本当に張遼が気に入っていたらまず自分と一緒に劉備のところにつこうよ、って薦めると思うの。本まで貸しちゃうぐらい仲良しなんだからさー。
まあそのあたりは全然良いんです。一番えええー!と思ったのは。

おいおい、この時点で曹操様丞相はまずいだろ!

こりゃとんだうっかりミスだね。参ったね。

曹操が丞相を賜るのは二〇八年です。

以上です。明日は二章を紹介予定です。