日月星辰ブログ

Vive hodie.

一日一冊行 東野圭吾「予知夢」

あまりに眠くて寝てしまいましたが明け方起き出して読みましたのでこれを一冊と数えさせて下さい東野圭吾「予知夢」。

予知夢 (文春文庫)

予知夢 (文春文庫)

湯川先生ものです。佐野史郎だという先生は私の脳内では東野圭吾そのものになってしまっていました。内容はね、がっつり考え抜かれた本格推理ものでした。必ずオカルティックな事件がほころびとして起こっている所なども良い感じでした。その点では京極夏彦の妖怪モノと根っこの所は同じかも知れません。
 しかし、京極夏彦は文体だとかディテルだとかでめいっぱい飾ってあの大長編をサーブしてくれる一方、東野圭吾はさくっとした短編に納めてくれます。どちらが優れているということでもありません。どちらも好みです。いやどっちかというと私はこってり系の方が好きですけど、東野圭吾方式の調理法も美味しくいただけます。いわば同じ「焼き物」でも、兜焼きとクッキーがあるように。上質であれば、シェフの腕が確かであれば、兜焼きもクッキーも美味しいということですよ。
 東野圭吾はもとより文体やら世界観やらは極力シンプルなのが常のような気がいたします。純粋にロジックのみで「百夜行」のような作品を作り上げる手腕には驚きを禁じ得ないというかどんだけアタマイイのよこのお方は、という気分で押しつぶされますが、こうなると「容疑者Xの献身」を14日の課題図書とさせていただくのが筋なのではないかと思いますが一気に読んじゃうのももったいないような。