日月星辰ブログ

Vive hodie.

エイメ「壁抜け男」

 あのですね、これ、良いですよ。ホントに。フランス人らしく恋と酒と料理と金みたいな男だても感じつつ、不条理系もありつつ、全体としてはなんだろうSFっぽいんですよ。もし自分がサビーヌたちみたいな立場だったらですね、一万人の男を作るよりもいろんな仕事に従事して金を稼ぎたいものです。会社に行きながら同人誌作ったりして。
 収録短編ですごくよかったのは「壁抜け男」と「サビーヌたち」かなあ。「パリ横断」と「パリの葡萄酒」は不条理すぎてわかりにくかった。「良い絵」はラストすごく感動するんだけど中盤だれる。「カード」の落ちのそっけなさはむしろ好きなのだが盛り上がりに欠けた気がする。
 随所に第二次大戦の陰らしきものが認められたので、もしやとおもって初出年を覽てみたらやっぱり。1940年代の暗雲はフランスの空にも立ちこめたのだと思ったら少し気が楽になった。