日月星辰ブログ

Vive hodie.

硫黄島からの手紙

見ました。
久しぶりに映画館で殺し合いの映画を見たせいか、中盤緊張で手が冷たくなりました。あともうこれは行けない、っていう段になってからの栗林中将の訓辞の場面で、ぶるぶると武者震い。自分が戦う訳じゃない。
しかしあれです、もうあの戦いはみんないけない、ということが分かっているので、いつはかなくなるか、あのひとはいつあれしてしまうのか、このひとはいつ、どのように、というところが気になって気になって、はらはらしておりました。まさかスプラッターなことにはならんよね? 腕が取れたり首が飛んだりせんよね? とひたすら血を怖がりつつ。時代劇ならわりかし平気ですが(でも映画版あずみの人殺しシーンはいやだった)近代戦はいやです。否応なしにこっぱみじんになるのがやりきれない。
そんな痛々しい話はさておき、実はこの映画、栗林中将とバロン西が目的で見にいった、というとんだミーハーなのですが、あのですね、戦争はいやですね。戦闘シーンの「こんなん生きてけない」「死ぬ死ぬ死ぬ」という絶望感が、大変ひしひしと伝わって来、クリント・イーストウッドはすごいと思いました。健闘ではないのです。もう「くしゃ」です。寡兵で大軍を迎え撃った上にくっしゃりとつぶされてしまうのは切なくて嫌で溜まりません。でも「アラモ」とかDVDで持ってるけどね。
人間が人間に向けて、銃を撃ったり、ミサイル撃ったり、大砲撃ったりするのはこんなに痛々しく、切なく、情けないことなのだよ、というあたりが痛いほど描かれており、見ていて苦しい。見て良かったと思うけど何度も見たくない映画です。
栗林中将@渡辺謙は大変かっこよかったでした。英語のシーンもステキでした。バロン西伊原剛志もよかったです。馬も出た。キャストで秀逸だったのはしかし中村獅童でした。癖のある役をがっちり。

ところで初盤後半あたりですでに号泣している女性がいて、参りました。そこあなたまだ泣くところじゃないから黙ってて、と思いました。何度も見て展開知ってて泣くのはある意味なんかやです。ねたばれに等しい行為だと思います。そのあたりはさすがにこらえてほしいです。あと泣き所が自分と違う人が隣とかにいるとみょうに自分が冷静になってしまいませんか。なんでここで泣くよ、とかって身勝手に思ってしまいます。