日月星辰ブログ

Vive hodie.

本日読了本

三国志』4巻(吉川英治
三国志(4)(吉川英治歴史時代文庫 36)
 関羽千里行(後編)〜長坂の逃避行(前半)というなんともハイライトシーンばっかりの巻です。孔明出蘆なんかもこの巻。曹仁夏侯惇の負けっぷりがなんとも悲壮で堪らないのが、この巻。千里の道を夏候惇と関羽を追ってひた走った挙句、一騎打ちの現場に都合よく登場して上手くその場を収めてしまう張遼も悲壮です。関羽赤兎馬だからいいよ? 夏侯惇は恨みのパワーでターボかかってるからいいよ? 張遼が何でそんなよろしいタイミングで出てくるんじゃ。完全に便利キャラです。悲壮!
 ハイライトとしてはやはり、博望坡で大負けを喰らった夏侯惇が自ら処刑を待つ罪人のように目隠しをして、曹操の前に現れるシーンでしょうか。あらためて魏武将にハイライトを当ててこの作品を読んでみると、吉川英治は本当は魏を中心に小説を展開したかったのではないか、と思わせるほど、ドラマチックな仕上がりになっているのでした。孔明は無条件にカッコよく描かれているが、劉備なんかは結構素直に「ちょっと卑怯でカッコつけ、でもなんか愛嬌ある」というへたれっぷりがかなりはっきり描写されていたりして、思わずちょっとうれしくなってしまうのでした。聖人君子の劉備なんかより、こういう劉備のほうが百倍大好きです。