日月星辰ブログ

Vive hodie.

塞翁

禍福はあざなえる縄のごとし、というが、ここしばらく沈下していたのが若干持ち直している。きっかけは往々にしてささいなことだったりするのだが、他聞に漏れない。

節制という事で近頃は外食を控えていたが、あまりに調子が悪いのと、残業が長引いて、家で作れるようなきがちっともしなかったので、駅前のラーメン屋に久しぶりに行ってみた。実に2ヶ月ぶりぐらいである。

ところでこのラーメン屋、名物が「油ソバ」という世にも熱量の高そうな、暑苦しい食べ物とあって、実は30を超えたら食べるのはよそうとひそかに思っていたのであるが、ーー30をの折り返し地点にありながらも、未だに食べ続けている。よろしくない。

閑話休題、そのラーメン屋には、カウンター席が15席ほどと、テーブル席が4人がけ3つほどしかない。自然客は否が応にも肩を寄せ合って仲良くせざるを得ないのだが、金曜日の深夜ともなると人も少ないので、なんとなくとなりの席を空けてしまう。私も同様に、実に中途半端な場所にすわっている。右隣のおじさんは一つ椅子を荷物置き場に使っていて、さらにもうひとつ、空席があり、左隣のにいさんとの間には2つほど空席があった。

そこに、3人組のおにいさんが入って来た。

つい、ゲームじみた感覚で、なんの考えもなしにひとつずれて、3人組の席を空けた。別段善意でもなんでもない。2足す1は3である、というぐらいの気持ちで、ひとつずれたばかりである。すると頼んでいた油ソバにのりが3まい付いて来た。それだけの話である。「席をずれていただいてありがとう」というのだ。

3が入って来たら2と1を足したい、みたいなあれは、じつのところ、カードゲームのソリティア的な感覚と何一つ変わらない。スペードの4の後にはハートかダイヤの3を置きたくなる感覚とほぼ同質である。その程度で3まいものりを頂いてしまった。たまには良い事もある。