日月星辰ブログ

Vive hodie.

現在読んでいるもの

中国の歴史04 三国志の世界(後漢 三国時代)

中国の歴史04 三国志の世界(後漢 三国時代)

ううん。思ったよりつっこんでいないような(何を期待したのか)。最新の研究のダイジェスト、という雰囲気だけは伝わった。曹一族のお墓が1974年に発掘されていたのねー。曹騰(か曹嵩)の金婁玉衣まででているとか。金婁玉衣っていえば、こないだ(ずいぶん前ですが)の中国の展覧会で漢王室のが来てましたが、日本でやるんだったらこちらを借りた方が。貸してくれなさそうな気もする。
三国志の史料展、という展覧会があったら、万障繰り合わせて行くのに。たとえ開催地が九州でも。

小説なんかとちがって、こういう文献は、憶測や根拠なき想像は許されていないのだろうから、隔靴掻痒というか、石橋を叩いて渡るというか、まあ要するに、慎重な論の進め方をしなければならないのは分かっていますが。

小説の話にシフトしますが、文人は文人の心にシンパシーを感じるのか、日本近代の代表的三国志小説・吉川英治版では、ほぼ軍師たちが主人公みたいだった。諸葛亮の群を抜いたかっこよさはもちろんのこと、李儒陳宮、王子服、郭嘉魯粛、とまあ私がみてかっこよかったのはみんな文人・政治家でした。王子服は武人のような気もするのだけれども、なんかこの人、陰謀に関わるせいか政治家イメージがあるなあ。
次。陳舜臣「秘本三国志」。これに至ってはフォーカスが五斗米道に当たってしまっているので、もっとあれだ。仏教の伝来とか、道教の祖の立ち位置とか、そのあたりばかり目立っていたような気がする。そんなわけで劉備よりも曹操なんですが、それ以上に諸葛亮だったような。
宮城谷三国志はまだまだ、どんなふうになるか予想もつかず。このあいだ読んだ文藝春秋では呂布が処刑されていた。光武帝から書き起こしているところを見ると、為政者にスポットを当てまくってがんがんいくのだろうなあ。曹操劉備・孫一族以外にも、えんしょうとか、とうたくとか(三国志辞書、早く入れ直さなきゃな)。
武人にスポットが当たっているのは、北方三国志なんだろうけど、どうも私、北方氏の文章になじまないらしく。もうすこし古くさい文体の人で、武人好きな作家さんはおらんかしら。是非三国志を書いてもらいたいのに。ああ、柴田錬三郎はどうなんだろ。こうして列挙してみて初めて、己の浅学がわかるよな。陳舜臣もその後「曹操」とか出してるわけですし。
しかし小説の三国志市場はかように飽和状態で、今更新しいの書こうってひとはいないかもなあ。