日月星辰ブログ

Vive hodie.

本まとめ

7月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:3824ページ
ナイス数:64ナイス

蜘蛛の糸・杜子春 (新潮文庫)蜘蛛の糸・杜子春 (新潮文庫)
まー蜘蛛の糸は、覚えるくらい読みこみましたよね。いま読むと、アグニの神とか、仙人とか、昔はよくわからなかったものが分かるようになったと思った。権助のようなのを飄然というのさ。あと、白みたいな現代の寓話みたいのは好きです。舞台が東京なのも良い。
読了日:07月29日 著者:芥川 龍之介
夜のミッキー・マウス (新潮文庫)夜のミッキー・マウス (新潮文庫)
ああっ ガツガツ速読みするのがもったいない!一片ずつよく噛んで!と自分で自分を叱りながら。やっぱりすごい。同じ言葉という道具で書かれながら、なぜこんな不思議な気分になるものは二つとないんだろう、って思う。
読了日:07月28日 著者:谷川 俊太郎
伊豆の踊子 (新潮文庫)伊豆の踊子 (新潮文庫)
川端せんせいの人間に対するまなざしは、ものすごく冷たいと思う。冷徹で冷静、踏み込まない。愛嬌はあんまり振りまかない。……だから生々しい女のことを描いても、色っぽいシーンを描いてもふしぎと平静な感じなんだろう。そんな川端せんせいの本書の解説に、竹西寛子三島由紀夫というのがまた。
読了日:07月28日 著者:川端 康成
星への旅 (新潮文庫)星への旅 (新潮文庫)
死臭までもが感じられそうな、6篇の死の物語。淡々と書かれる写生文調の文体がまた凄みがある。作者は「透明標本」の加茂のように、若い頃胸を患ったそう。病弱な少年のような視線はだからなのかな。
読了日:07月27日 著者:吉村 昭
曹操〈下〉―魏の曹一族 (中公文庫)曹操〈下〉―魏の曹一族 (中公文庫)
英雄ではなく、詩人の呼吸をする曹操、という感じです。特に下巻は、詩編がいくつも出てきて、曹操の詩が好きならば絶対盛り上がると思う。異民族につながる一族の人間を持っていたとか、闇社会の知り合いがいたみたいなフィクションも、リアリティをもって描かれています。曹操を主役に徹し、他の人間をほとんど描かない、英雄譚ではない三国志というのも面白いです。
読了日:07月25日 著者:陳 舜臣
吾輩は猫である (新潮文庫)吾輩は猫である (新潮文庫)
ペダンチックなユーモアの畳み掛けに胸がすくし抱腹絶倒だしの名著。最近になって読んでみるとまた、気の付くところが変わっているようなきがする。猫や先生方が持ち出す警句も、古今東西入り交じっててすごい。漱石専門の英文学から、漢籍、禅籍、ギリシャラテンの古典などなど…… 所々に三国志ネタが出てくるところもうれしかったり。夏休みににやにやしながら読むにはぴったりの名著でした。
読了日:07月24日 著者:夏目 漱石
イヴ・サンローランへの手紙イヴ・サンローランへの手紙
2008年6月、「モードの帝王」イヴ・サンローランへの弔辞とともに始まるこの『手紙』。往復書簡みたいなのをちょっと期待したけど、そうじゃない。ほぼ日記の形式で、亡き「君」に語りかけるように綴られる各編は切なすぎる。映画『イヴ・サンローラン』を見た後で読んだので予備知識もあったから、彼らのコレクションのオークションの模様などはよく解った。オークション会場にかかった、ものすごく大きいアリス・スプリングスの写真って、この表紙の事だよねえ。
読了日:07月18日 著者:ピエール ベルジェ
檸檬 (新潮文庫)檸檬 (新潮文庫)
リリカル……というんでしょうかね、繊細……というべきなんでしょうか。31歳で肺病でなくなった作者の、「永遠の若書き」作品シリーズ。四十歳の梶井基次郎、五十歳の梶井基次郎、六十歳の梶井基次郎が読んでみたかった! 日常のささやかな事を題材に描かれる作品群。末期の目を持った若者の言葉。そりゃ「檸檬」や「桜の樹の下には」みたいな傑作も出よう。小説としてダイナミックだったり、人生の示唆に富んでいたりはしないが、死の匂いばかりは思う存分かぐ事が出来る悲しい短編集。
読了日:07月17日 著者:梶井 基次郎
山椒大夫・高瀬舟 (新潮文庫)山椒大夫・高瀬舟 (新潮文庫)
実は森鴎外教科書以外ではこれが初読。「山椒大夫」「高瀬舟」は具体的な取材を対象に対してセンチメンタルに踏み込みすぎない距離感が良かったです。舞姫にはぎょっとさせられたからなー…。
読了日:07月14日 著者:森 鴎外
曹操〈上〉―魏の曹一族 (中公文庫)曹操〈上〉―魏の曹一族 (中公文庫)
「秘本三国志」でもそうだったけど、陳舜臣三国時代の中国をとてもグローバルにとらえていて、さらに曹操という人物をそのグローバリズムの頂点と見なしているような気がする。日本人からしてみると、確かに中国は大陸なだけ、果てしない縦横への広がりを感じさせる魅力があり、それなしで語れない国だと思う。たしかに、かの「破格の人」が、あの国であれだけ縦横無尽に駆け回っておいて、西域やインド、匈奴方面に無関心なわけがないよね。
読了日:07月09日 著者:陳 舜臣
こころ (新潮文庫)こころ (新潮文庫)
長い間何となく避けていた本作をいま、読んでみました。名作の名作たるゆえんがよくわかった。無駄のないストーリーと記述、簡素で解り易い文体、さらには「次どうなる」と読み進めちゃう推進力…… すべてが極まれであり、だからこそ漱石が巨匠/文豪と呼ばれるんだなあ、と今更ながらに当たり前の事をおもった。ラストシーン、後少しのところで遇えて切ってありますが、この後、私と先生は合えたのか? はたまた、やっぱり合えなかったのか? 余韻が残る切り落としの絶妙さもこれはそうそう出現するもんじゃないなあ…… やっぱりすごい。
読了日:07月07日 著者:夏目 漱石
ハンニバル・ライジング 下巻 (新潮文庫)ハンニバル・ライジング 下巻 (新潮文庫)
ハンニバルの貴族趣味の源と、人体に詳しい理由と、おそらく人肉食嗜好の原因が解かれる本作。この世・この時に存在してはならないアンチ・ヒーロー、ハンニバルの正体に肉薄する作品だったはずが、全部読んでも彼からは全然人間の匂いがしてこない。やった! やっぱり怪物だったんだ! と、ちょっとホッとした。やっぱりレクター博士は怪物じゃないとね。ところどころに出てくる和のモチーフも、地元民としてはうれしいところ。で、やっぱり紫夫人は3代ほどさかのぼると仙台出身ってことになるのでしょうか。
読了日:07月02日 著者:トマス ハリス
ハンニバル・ライジング 上巻 (新潮文庫)ハンニバル・ライジング 上巻 (新潮文庫)
類稀な教養と狂気を併せ持つ希代の殺人鬼、ハンニバル・レクターの前半生。第二次世界大戦ナチスソビエト軍は近代の怪物だよなあやっぱり。今回もまた、人間のくずみたいな卑劣な悪役が登場、多分彼をレクターが追い詰めて行くのだろう。下巻に進む。
読了日:07月02日 著者:トマス ハリス

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