日月星辰ブログ

Vive hodie.

幽霊紳士

 柴田錬三郎を読んでいます。
 柴練と言えば「英雄三国志」でも最近ちょっと話題になりました。三国志ブームって、本当にゆるーいゆるい波でぽちゃんぽちゃんと、繰り返し寄せては返すのですね。一部の人で大フィーバー。小学校の時に横山三国志にはまった人が、オトナになって蒼天航路に行ったり、乙女の時に吉川三国志にはまった人が、うっかり三國無双に行ってしまったり、という感じですね。つまり、小さめのU集合があって、三国フィーバーという集合がついたり消えたり。三国志が女の子に注目されだしたのはつい最近だ無双のせいだ、みたいなご意見をどこかでみたような気がしますが(また出所の分からない情報を…)、そんなことはありません。私が小学生のころは少なくとも、吉川三国志は男の子の間でブームで、それの煽りを喰らって私も読んでいました。そしてもう少し上の世代だとNHKの美麗な諸葛孔明が出てくる人形劇三国志と来る。
 どだい三国志はJUNEの世界でもみゃくみゃくと健在で、昨日の今日無双のせいでなにがあれになったわけではございません。かのJUNEの総元締め・栗本薫からして、「グイン・サーガ三国志がベース」と発言したりしておりますし(これは「グイン」の後書きにありました)、なにより「天の華 地の風」という前例もございます。しかしグイン・サーガは、三国志ベースにしてはあれだ、武将があまりに軽視されすぎているきらいがありますね。もう少し勇猛かつそこそこ頭の切れる、融通の利く使えそうな武将が出てくるべきですよ。素敵髯だとなおよし。
 えーそんなことはさておき、柴錬です。作品が古いのでしかたありませんが、「処女を捨てた女子大生が一路極道へ足をつっこむ」とか、「不貞の妻が去る」とか、ちょっと感覚が古くて居心地が悪いです。女性に関しては、特に。最後にどんでん返しが約束された数十枚の佳作短編オムニバス、というのは読んでいて気持ちが良いのですが、この点でやけに引っかかる私はやはり負け犬なのでしょうか。負け犬って上座部フェミニストなのではないか、という解釈に基づいた非常にあれできけんなはつげんでしたもうしわけありませんでした。そうやってすぐ、はやり言葉を使いたがるからこの人。