日月星辰ブログ

Vive hodie.

球場巡り:阪神甲子園球場

5月13日、14日と阪神甲子園球場に行って来た。今年は気が向いたら球場に足を運んでみよう、というテーマを作った。直接のきっかけはいわば社交である。飲み会の席でつい、口を滑らせて「自カプ野球アンソロ作ろうぜー!」と言ってしまった。それまで野球にはそれほど詳しくなかったのだが、ジャンルのお友達に野球に詳しい人がいたのである。もともとネットミームに誰が言い出したか「野球回のある漫画は名作」というものもある。呪術廻戦にもあるし、あ〜るくんにもある。

「野球アンソロ」発言にいたる伏線は他にもあって、中川右介プロ野球『経営』全史」という本が大変面白かったのだ。

https://lubudat.hatenablog.com/entry/2022/09/02/223516

 

 甲子園球場の起工式は一九二四年三月一一日、夏の第一〇回大会に間に合わせるため、突貫工事で八月一日に完成した。当初は一〇〇万円の予算だったが、急がせたこともあり二五〇万円かかった。一九二四年は干支では「甲子」だったので「甲子園大運動場」と名付けられた。

 敷地総面積五万四〇〇〇平方メートル、五〇段の座席を有する鉄筋コンクリート造のメインスタンドと、外野には二〇段の木造スタンドを設け、六万人の観客席を備えた。(中川右介 プロ野球「経営」全史 2021年)

こういう外部のご縁が、思わぬ興味の拡大につながることもあるんですわ。アンソロの原稿を書くために本書をまたパラパラと読み、足りない知識はネットとか、また新たに買った本などで補った。

 

横浜ベイスターズの協力のもとに、絵本作家いわた慎二郎が書き下ろしたこの本とか、主要な施設とか そもそも選手たちが何時頃に「出社」するのかなどの基本的なことを知るのに役立った。

 

野球場の1日

そんな伏線を経て野球アンソロを脱稿、なんやかんやあったもののちょうどWBCたけなわのころのイベントで頒布した。売れ行きは描き手程の盛況とはいかなかったが、大変喜んでくださった方もいて、やって良かったと思っている。

その最中に、あのWBCですよ。

爽やかなスポーツマンシップ

「ぐう聖」栗山監督以下、錚々たる、信頼できすぎるコーチ陣。

大谷選手はじめとする、人間ができすぎている選手たち。

(その後スキャンダルが報道されてしまった山川穂高さんについてはほんとに残念である。きみさー、ほんとに報道されたようなことがあったのにあのファーストであんなにこにこしてたの?? 肝太すぎない?)

 ラーズ・ヌートバーとオータニサンのスキャンダルだけは一生聞きたくないからな。

それはそれとして。

野球という競技について大いに目を開かされたせめてものご恩返しとして、多分宇宙一(宇宙のどこかに野球星というものがあるのかもしれないけど)野球を愛する人類の一人であろうオータニサンがお好きなものを、わたしも少しは勉強してみたい、と今年は球場巡りをするぞ、と思ったのが3月くらいである。

その後、スケジュールの手配などをして、まずは日本で最も古いという球場、甲子園をかわきりにするのがよかろうと、友達を誘って大阪行きを決めた(その後お誘いなどいただいて、今年初めはハマスタになったわけだが)。

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もともとは多目的運動施設として発足したそうで、屋内プールや修道館的な施設などもあったそうである。この、蔦の生えた外観の威容。報道ではみたことあるけど、肉眼では初めてみた。

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これは駅からのエントランスである。石畳の広場が詰め掛けるファンを受け止めている。この、駅前の広場だけでもいくつものタイガースショップがあり、出店も出ており、飽きさせない。12時にもなればショップ「アルプス」前は長蛇の列である。

 この球場前広場には「タイガーズショップ アルプス」と「ファンショップ ダグアウト」があり、いずれも阪神グッズで溢れている。アルプスの方が人の入りはすごい。限定グッズやユニフォーム、帽子が充実している。一方の「ダグアウト」のほうも「アルプス」より小体ではあるが人がひしめいている。

 なお、駅前のローソンにもグッズコーナーが大々的に設けられており、「あ 応援グッズ忘れた!」となってもその場で購入できるという親切設計。

 この日は雨模様だったが、客席に入る頃はまだ曇っていた。ご飯を食べる時間を考えて…とか言っていたけど外のショップはどこも人が満載である。中でお弁当買うことになった。

 私が買ったのは「湯浅のキュートなおむすび弁当」。

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www.hanshin.co.jp

リンク貼ってみたが、来年には無くなっちゃうページだと思うので、説明書きから少し引用しよう。

 

湯浅選手のボールをこねるしぐさから着想を得たおむすび弁当! 肉巻き&海苔巻きおむすび、えび天、玉子焼き、なすびのお浸しと湯浅選手の好物を小ぶりな容器に盛り付けて「キュートな」見た目に仕上げました!

とある。

 湯浅選手、なすびのおひたし好きなの。渋いな。

 他の選手のものは大体、「選手も大満足」しそうな感じの大盛り弁当だったので、これなら他の球場グルメも食べられそうだな、と思った。

 他にも、イカ焼きだの、長いフライドポテトだのを買って、席に着く。

 席はチケットを抑えるのが遅すぎたせいか外野の上段の方。それでも案外、グランドはよく見えた。ただし…なんと「ビジター応援席」!そういえば階段状の席を登っていくときに、前の方に座ってる人の足元に見えたんだよな。楽器のケースが。

 吹奏楽部だったのでケース見りゃ何が入ってるのかわかんのよ。

 

 せっかくなので久しぶりに会う阪神ファンのお友達と一緒に観戦しよう…と思っていたのに何たる不覚。お友達は黄色いユニフォームを封印されてしまいました。

 試合はちなみに、横浜阪神戦だった。

 

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この四面楚歌ぶり。

甲子園でビジターで投げるのがめちゃくちゃプレッシャーである、と言っていたのはグラゼニのナッツ投手であったかと思うが、さも、という声援。

まだ5月なのでお互い切羽詰まる時期ではないと思うので 本気の阪神ファンはもっとこう、さらに、すごいんだと思う。

 

 というわけで、攻撃のたびに起立と声出しが必須となった。そのうち雨はぽつぽつ降り出してくる。急遽買ってきた真っ黒いかっぱを着込んだが、たったりすわったりするたびにかっぱに溜まった水が垂れてくる。寒い。ビールでも傾けながらまったりのつもりがぜんぜんになってしまう。

 ただ、——声出し応援というのを初めてやってみて、七回ぐらいからふしぎな気持ちになってくる。我々が、各ベース上でぐっとしゃがみ込んで虎視眈々と(ハマの星たちもまた、虎の目をしている。甲子園なだけに——)盗塁の機会を狙う。あるいは四角い白線の内側で投手の「隙」を盗もうと睨みつける——その「彼ら」を本当に「気で押して」いるような気持ちになってくる。応援は音頭を取る人、旗を振り回す人(畳一畳分以上もあろうかというようなすてきな青い応援旗である)誰に対して「ホームランを要求するか」などはリーダーが決める。応援歌は攻撃回中、雨に濡れているであろうラッパが叫び続けている。即席で覚えた九人の人々の名前を無心で叫ぶ。その背中がすこし大きく見えた。

 結局試合は負けてしまった。今年の阪神は強い。さすが名将・OKADAである。AREをまじで狙うかもわからんね。

 

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 しかしながら多分、ここでもらっちまったんだよな、コロナをよ。マスクなしの声出し応援は、ワクチン四回以上、体調万全で挑まれたしである。

 虎ファンのお友達には気の毒した。

 その後はミナミに移動して、ディープな焼き鳥屋で飲んだ。

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