日月星辰ブログ

Vive hodie.

ゴールデンカムイ 本誌感想 #283

徐々に「最後の謎」に向けて核心に近づいている感じがする…

以下ネタバレあり。

 先週の感想に「いうて土方さん、五稜郭入りは初めてでは」と言いましたが、当然図面ではしっかり予習をされていたとは思いますよ… でも、実地で戦うのは初のはず。胸熱。

 中の建物は当然読者も(私を含めて)気になっていたところだと思うので、使ってくれて嬉しい気持ち。

 土方歳三の裸体というのは(作品の性格上)、いままで出そうで出なかった。1巻収録の#7「脱獄王」にて、白石が回想で語る土方の囚衣の胸元には確かに刺青のようなものがのぞいているが、正直なところ、土方の体には本当に刺青が入っているのか? は長いこと疑問だった。意図的に作者は終盤に至るまで彼の刺青を隠していたのだろう。あの7話の絵でも、首元近くまでびっちりと刺青が入っている様子だったが、土方の刺青の図案だけ妙に密度が濃い。刺青は正中近いところほど痛いって聞いたことがある。心臓の真上は相当痛いんじゃないだろうか。さすが、土方歳三。歴史に名を残す男(フィクションですよ)。

 

 しかし、杉元の言うように「お堀の中」ならば海賊房太郎が、「穴を掘る」なら当然元工兵で爆薬のエキスパートであるキロランケが、いてくれたらなあ、とすでに鬼籍に入った人材が惜しくなる。逆にいうと、ここまできて海賊房太郎が早々と去ったことに意味が出てくるのかなとも思った。もし生きてたら軽々とお堀を潜るだろ、あの人。

 ただ、「お堀に隠す」となるといちいち潜っては採ってきてロシア領事館まで運ぶのも大変そうな気がするので、杉元のラインはないと思うなあ…(もしあったらごめんね杉元)。

 キロランケの不在も、潤沢に武器が揃っているソフィアたちがくることを思うと、ますます意図的な感じがする。優秀な工兵がいては話が早すぎるのだ。

 結局土方ですら額にはちまきして、シャベルで掘るしかないのである。

 

 白石の、「キロランケは命をかけた」というセリフ、若干フラグな気がしないでもない。金塊がもし、本当に兵糧庫から見つかったら、土方歳三は二人を生かしておくかな……。

 併読している(っていっても最近1ページも先に進めていない)京極夏彦「ヒトごろし」が頭をよぎるんだよねえ…。

 京極の土方解釈はサイコパスである。野田サトルは土方を、自制心に富むがいざとなったら冷酷な男として描いている。杉元は若干、危機意識がなさすぎやしないか… 急に抜刀されたらいくら杉元でも「不死身」といくかどうか。

 勝手にハラハラしている。