日月星辰ブログ

Vive hodie.

曹操暗殺

予定表に書くとなんだか王子服になったような気分になれる映画「曹操暗殺」を見に行きました。

ドラマがとても凝っていて、史実もいい感じにアレンジされており、たいそう面白かったけど、いかんせん、三国志オタクなので肝心の「泣けるとこ」に関してはさして泣けませんでした。2回めを狙って席を取ったのですが、初回の劇場から出てきた女性の多くが目を腫らしていて、「えっ そんなに曹操様が泣かせてくれん?」って思いましたけど違うよね。まあね。

蒼天航路の「清々するな」で静かに泣けた不肖脱兎としましては、アサッサンのほうに感情移入するのは極めて難儀なわけでして、まあそういうことかなと。ただ今回の曹操さまはチョウ・ユンファで、まあかっこいいことは太鼓判です。あまりにかっこよすぎて、一瞬の寂しげな表情とか憂いを秘めた横顔などが胸に迫り、これはもしかすると中共権力のプロパガンダなんじゃなかろうかと思ったぐらい、巨悪どころか権力の悲哀を思わせましたが、そんなことは多分ないです。

ちゃんと(ちゃんと?)中国古代式の残虐な刑罰あり、曹丕が結構アレなどら息子であったりなど、権力側の理不尽や無慈悲も描きつつ、問題はだね、暗殺者側の理論が今ひとつ、奥歯にものがはさまったような、なんとも激烈なものを感じない頼りなさで、そこがちょっと不満といえば不満。そのくせ彼らの運命はやっぱり激烈といえば激烈で、うーむ、そんなもんでいいの? となってしまいました。この辺りのドラマならよほど、「紅夢」とか「覇王別姫」なんかのほうがやるせなくも痛々しかった記憶。ドラマのわかりやすさなら「ラスト・エンペラー」のほうがわかりやすいしな―。

「関雲長」といい、最近の小粒の三国志映画はとかくポエジーに走りがちなんじゃないか、とも。詩的な絵なら沢山出てきて、結構お腹いっぱいになれます。服装も風習も所詮細部は想像するしかない時代というわけで、かなりかっこよく脚色がふんだんに施されている感じです。献帝と伏皇后がちまっと座っているとお雛様みたいだし。

ネタバレに抵触しないあたりなら感想はこんなところです。あと、夏侯惇とキョチョが、セリフはないながらカッコ良かったです。許チョはちょくちょく、曹操さまに耳打ちをしたりしていたような気がしますが、夏侯惇はほとんど背景でしたが、居るだけでうれしいって。ホント。

許チョは大立周りもありました。隠れ許チョ映画、といってもいいかも知れません。あと、サイトのほうに「呂布」とか書いてあったけど、張遼はいませんでした。多分あの頃は合肥に居るんだと思う。

今度中国が映画を作るなら、ぜひ曹操の側近がわちゃわちゃ陰謀をしたり戦をしたりする話を作ってください。別に悪役でもいいので…… せめてセリフを与えてやって……