日月星辰ブログ

Vive hodie.

ものすごく久しぶりに 月初ですから

2011年4月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:2227ページ

カエサルを撃て
「ジャックリーの乱」でも描かれたが、「精神の引継ぎ」みたいなテーマ。しかし今回は、年長→年少ではなく、若者→中年への意気の引継ぎみたいな形になっていたのが、変奏として面白かった。帝王カエサルはヴェルチンゲトリクスの暴威を受けついたのか。
読了日:04月27日 著者:佐藤 賢一
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/10836525

■黄金探索者 (新潮・現代世界の文学)
全編、潮騒の音に包まれた小説。ブーカンの旧宅、ロドリゲス島、「約束の地」めいたマナナヴァ。ロドリゲス島の「山の民」ウーマとのロマンティックなくだりや、「宝探し」を主軸にするプロットは「大洪水」より解り易かったでした。何もかもを失った主人公・アレクシスが海を見ているラストに、なんとなく希望を感じる。 戦場の描写はやはり、時間の断絶を現すのかな。ここで描かれる戦争は第1次大戦。これを境にいろいろな事象が変化しています。
読了日:04月24日 著者:J.M.G. ル・クレジオ
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/10793299

■赤目―ジャックリーの乱
虐げられた階級の反乱の、薄気味の悪いルサンチマン、社会に対する不満、若者の異性への不審、暗い性欲、えぐみたっぷりの残酷描写や性描写を惜しげも無く突きつけながら、執拗に「人間悪」を描ききった作品。他の作品と比べると実験的ですらある気がする。多くの人の賛同を得るにはエグすぎる内容だもの。佐藤賢一流の救いがあるとするなら、ジェロームとマリー、フレデリの友情だけれど、それも… ラストの引っぱり方はいかにも物語らしい感じで、かえってフィクション性を感じてほっとしたりしました。
読了日:04月18日 著者:佐藤 賢一
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/10708502

■ストリート・チルドレン (光文社文庫)
セックスでつながって行く新宿300年の一族。ただし彼らは「一族」というにはあまりに旧弊的な家族ではない。ほそぼそとつながる一筋の血すじにすぎない。タイトルどおり、新宿の道ばたで生きて行く最底辺の少年/少女たちの貪婪な性/生なんだけれども、このスケールにしては描写があっさりしていて、もっと踏み込まないのかな。。と思ったところもあったけど、性愛をそのまま、生きる事と、なにより生殖に生々しく結びつけることで、新宿の街の貪婪さというか、生命力の匂いが立ちこめている。
読了日:04月17日 著者:盛田 隆二
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/10677712

■カルチェ・ラタン (集英社文庫)
中世パリの知識の牙城、カルチェ・ラタンを舞台にした漢の探偵小説。友情、恋愛、宗教や学問を盛り込んだ痛快な小説。骨子にあるのはヒーローの受け継ぎの物語。全体が「偽書」のていを成しているのも、本好きにがっつりマークしてくる。
読了日:04月15日 著者:佐藤 賢一
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/10656526

■大洪水 (河出文庫)
プロローグの描写は、しょうじきなところ、こんなの書く作家がいるんだ! と困惑しました。が、ベッソンの過ごした12日間をともにすると、プロローグの描写が必然だったことに驚きます。また、ベッソンがなんであんなにどんよりと、死をみつめているのかも、ちゃんと13章まで読めばなんとなく分かりました。小説はこのレベルまで描ける媒体なのか!と目が開く事必至です。
読了日:04月13日 著者:J M G ル クレジオ
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/10614520


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