日月星辰ブログ

Vive hodie.

ロック・ユー!

監督ブライアン・ヘルゲランド、主演ヒース・レジャー
監督云々よりヒース映画ということになるかもしれないが、ポール・ベタニーがめちゃくちゃ美味しい偉人の役をやっています。


私のなかのイギリスのイメージが、どんどん、歴史があって奥深いんだが下品、みたいになるんですが…。

エドワード黒太子がなんていうか、遠山の金さんポジションなの。その上にチョーサーがベタニーでものっそ軽口の軽薄そうなあんちゃんなの。ヒース・レジャーのウィリアムはべつに「征服王」じゃないけど(そもそも時代違う)、屋根葺き職人の息子でナイト。ちなみにオリジナルのタイトルは「A Knight's Tale」。うん、無難っていうか、そうだよね普通。さすがに「ロック・ユー!」が原題だったら嫌だ私。

典型的な成り上がり物語、若干ロックテイストな中世の「騎士と姫」物語、だがそこが良い! ヒース・レジャーがかっちょよすぎて、なんていうかその、…アイドルっぽいのが不満と言えば不満ではありますが。非常に素直な役所だもんなこれ。だがそれを嫌味にならず、陳腐にならず演じており、やっぱりすごい人だったんだなあと改めて思いました。

典型的な物語の常で、定石はいろいろクリアされていた。次々と増えていく個性的な仲間、彼らとの絆、オンナはわがままで男を困らせ、追いかけられて喜んでると思ったらより一層惚れて追いかけてくるのは女子のほうだったりするわけです。極めつけは「老いた父」。冒険ものに老いた両親は非常に重要なキーになりうる。どんなに飛び出していっても、心のどこかに引っかかっている大事な誰か。
敵役もなかなか嫌味でかっこよくて良かったです。"Welcome to the New World."かどうかは取り敢えず置いておくにしても、旧弊的でスノッブなのはいつだって嫌われるもの。

とにかくベタニーチョーサーが最後、「ウイリアム卿」コールをするあたりで拳を振り上げて椅子から立ち上がらねばなりますまい。いや、ぜったいやるとおもった。チョーサーならやってくれると思った。やったぜジェフ。良い小説書いてよね。
成り上がる中世のイギリス騎士の物語で、彼のブレーンがチョーサー、っていうのはできすぎてるというか、まあ山上憶良が太閤秀吉のブレーンになるぐらいできすぎてると思うのですが、まあそのあたりは。サー・ウイリアム、エドワード黒太子のためにせいぜい戦ってくれ給え。でもってチョーサーはあの後、従者連中と一緒にヨーロッパを旅して酒場でお話の取材をして、「カンタベリー物語」を書くと良いのだ。うん。

まあ、なんていうの? 結局これさ、ジェフリー・チョーサーを「ジェフ」って呼ばせたかった映画なんじゃないの? と思った。あと素っ裸に剥くとか。