日月星辰ブログ

Vive hodie.

時計仕掛けのオレンジ

アントニイ・バージェス

若さって、はしかみたいなものなんだってね、とDQNがいった。


すごくタイムリーな題材でした。なんでかね。
ジュンク堂豪遊で手に入れた変哲もないハヤカワ文庫ですが。
丁度ちょっと数時間前に、DQNについて考えてたところで、まさにDQN小説、というこれを読んだのは、僥倖としか言えない。
若くて意志的だ、ということは、DQNであることに非常によく似ている。意志的であるが故に、まだいろんな判断基準を持たないがそこそこ賢い子供が、暴力的になることもそりゃあ、あるだろう。
でもって、そんな問題が随分前にすでに語られ済みで、「選択の自由」と「選択の責任」の双方が、ものすごく自然な感じで描かれているのもまた、いつまでたっても人間というのは変わらないね、と溜息の一つも尽きたくなる。
しかしまあ、おっしゃるとおり、「選択することそのもの」が人間を人間たらしめる何かで、時計仕掛けになってしまうことこそが最悪だ、というのもまた。

誰かの言いなりである限りは、善行を行おうが悪を為そうが、等しく悪だ、と。

だからどこかのリリックから聞きかじってきた何かのシャウトをあたかも自分の言葉っぽく語るDQNは依然DQNでしかなかろうし、まあそれはどこかのありがたい本から聞きかじった言葉で訓辞を垂れる誰かさんも同じだろう。

まあ、この本の場合、問題がそこでは終わらないところがまた面白かったけど。最後に勝ちを収めるのは、人造の、作られた思考停止ではなく、本能。テーマは有機的に裏返って、でも結局、本能には逆らえないアレックス坊や。読後感は…うーん、なんかこう、もう少しアレックスくんには頑張って欲しかったな。いや彼は徹頭徹尾、一瞬たりともガンバッテなどいやしないけど。