日月星辰ブログ

Vive hodie.

おばあちゃんが亡くなりました

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あと少しで100歳だった祖母が亡くなった。

祖父母の代では唯一存命だったおばあちゃん。最近は流石にぼんやりしてしまって、遊びに行っても私が誰か、分からないことが多かった。お茶を立てるのが好きで、昔は遊びに行くとよく立ててくれた。

施設に入ってからは良く昔の話をとりとめもなくした。昔の曲や、昔の写真を叔父が持っていって、話のタネにしていたらしい。ふと窓の外を見て、「全然違うわ。ここはどこ?」と言ってたのが、なんだか不思議な感じがした。ふと、昔の世界に行ってしまうおばあちゃん。過去のことを今のことのように話しながら、たまにふっと、「いま、ここ」に戻ってきて、呆然としたような顔をする。

タイムスリッパー。

そんな感じだった。特に妄想にとりつかれるような不幸な老いを過ごすでもなく、元気な頃はかえって叔父夫婦に多少の不満を持っていたようだが、最後は仙人のような、蝶のような透明な、清澄な感じになって、亡くなった。

母にとっては母なのだから、それなりに悲しさや寂しさがあるのだろうけど、私にとってはすごく遠いどこかの時空の乙女のようになってしまっていた。昭和初期の、可憐な乙女が、老いの殻を被って戻ってきてしまった、みたいな。

私が中学時代に、買ってくださった時計を、少し前からまた使い始めていた。他にも時計は持っているけど、死ぬまでこれを使っていこうかなと、思い始めている。