日月星辰ブログ

Vive hodie.

備忘録:6/5 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第290回 定期演奏会

自分のための備忘録です。10年後読み返すのに重要なんです。

 

指揮:高関健

フルート:竹山愛

コンサートマスター:松野弘明

東京オペラシティコンサートホール

曲目:

アルテュール・オネゲル Arthur Honegger

交響曲第2番(弦楽のための交響曲)Symphony No.2 (Symphony for strings)

 1,Molto moderato--allegro

 2,Adagio mesto

 3,Vivace non troppo

 

カール・ニールセン Carl Nielsen

フルート協奏曲 Flute Concerto

 1,Allegro moderato

 2,Allegretto, un poco

 

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン Ludwig van Beethoven

交響曲第5番 ハ短調 作品67

 1,Allegro con brio

 2,Andante con moto

 3,Allegro

 4,Allegro

 

 オネゲル 交響曲第2番 好みの緊迫と憂鬱を感じさせるストリングスアンサンブル! ヴィオラがちょっとハスキーな気がしたのと、コントラバスがええ声過ぎた気がするが多分気のせい。この曲、第3楽章のラストのラストにだけトランペットのコラールが出てくるんだけど、それまで沈黙を保っていて、とても変な感じである。まさか途中で編成も変えられないだろうから、トランペッターは待機所で楽器を時折暖めつつ、黙然と待ってるのか。バルコニー席のせいで、そのトランペットの様子はまったく分からなかったけど、どっかの物陰から突然喨と鳴り響くトランペットはなんだか幻のような気もした。はじめバンダかと思ったヨ。

 

 ニールセン フルート協奏曲 竹山さんは灰色の裾を長くひくドレスで登場。管楽器の立って吹くソロは結構ふんばりそうだから、足はあんまり見えないほうがいいのかもしれない。ちらりと見えた靴は見事な銀色だったけど、かかとがあったかどうかはわからない。かかとがあったらふんばった弾みでこけたりしそうな気もするけど、まああるでしょうね、かかと。

 曲と丁々発止、しのぎを削るように、取っ組み合って息を乱すファイトのように演奏するフルーティストだったな。オーケストラは果敢に戦う単騎のソリストを包むように、援護するように音を乗せてゆくが、時折敵のようになって覆いかぶさってくる。協奏曲のソリストって、いつもそうだけど、あまり観客に向かって語りかける人はおらず、ひたすら音と孤独に戦う姿を見せつけるひとが多い…気がする。そこんところがポップスターとの違いかもしれない。表現者は、何と戦うのだろう。

 特にこの曲は難しそうなソロだったから、余計に取っ組み合いのように聞こえたのかも知れないけど。

 

ベートーヴェン 交響曲第5番 ちょう有名なアレ。もう冒頭の書き出しだけで出落ちっていう、すごい曲。あらためてすごい曲だ。いきなり「やあやあ我こそは…」ってなる。ものがたりの分野ではあんまりそういうのって無い。つらっと記憶を見渡してみると「吾輩は猫である」くらいかな。

 見どころいっぱい、演奏者もすごくテンション高い。とくにコンマスが大いにテンションが高くてついニコニコしてしまった。プログラマだったら、名コードを書き上げた時の最後のエンターキーが「ッターン♪」ってなるタイプや。ぜったい。オーケストラを軽々と飛び越して響き渡る魔笛のピコロ、まさにロイヤルシートの名がふさわしい第1トランペット。ちっとくどめの最終楽章締めもくどくどしないぐらい、ノリノリだった。

高関さんという指揮者の方は、きっと絶対君主というよりもいまどきのやり手の経営者みたいにオーケストラを率いているんだろうな、と思った。ナンカスゴイカリスマで強権的に引っ張っていく魔力つきの指揮者もいいけど、明瞭で優しい対話と、ニコニコ楽しいせめぎあいで作り上げられた感じはすごく安心する。演奏前のプレトークでも紳士的で明快な話し方をされる方だったので、きっとこの直感は当たらずとも遠からずではないかな、などと我褒めしてみる。