日月星辰ブログ

Vive hodie.

本まとめ

もはや本まとめブログとしか……

6月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:2779ページ

わたしの流儀 (新潮文庫)わたしの流儀 (新潮文庫)
毅然としてて、優しい視線。自分に厳しく、人に優しく。さらに大まじめにおもしろい事をさらりと書くユーモア。まさに一筆入魂、といった筆者の小説群とはまた違い、非常にスリムな文章で描かれる身近な題材なのだけれども、背筋は伸びるし、笑えるし、あたたかい気分にもなれるエッセイ。小説のほうは真剣勝負でなかなか入って行けなかったが、こちらを読んだあとなら、親しみを込めた姿勢で読めたかもしれない。
読了日:06月30日 著者:吉村 昭
深海の使者 (文春文庫)深海の使者 (文春文庫)
敗戦後生まれの日本人として、何となく、戦争に関する記述を避けるような気持ちがありました。淡々と、飾り気の無い言葉で書かれたこの本で、戦時中、ドイツと日本を密かに行き来した潜水艦たちがあったこと、それ以前に、戦時中の外交とはいかに困難なものか、というようなことまで解る本でした。ドイツの降伏で敵の中に孤立してしまったふたりの技術者の最期とか、なみだなしでは読めません。
読了日:06月29日 著者:吉村 昭
荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論 (集英社新書)荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論 (集英社新書)
人間にとって、恐怖とは何か、また、それを鑑賞したり、わざわざ作ったりするのはどうしてか? という深いテーマをホラー映画という題材で分析する本。それぞれの作品の紹介も的確で怖さが伝わってくる。
読了日:06月21日 著者:荒木 飛呂彦
三陸海岸大津波 (文春文庫)三陸海岸大津波 (文春文庫)
三陸海岸をおそう、恐ろしい津波「よだ」。取材された事実だけでは、新聞のスクラップになってしまいますが、ところどころにどきりとする詩情があり、背後に三陸海岸を愛する作者の悲しげな目がある。津波の被害を現す記述は、まさしく2011年の津波被害の記録かと思うほど。
読了日:06月19日 著者:吉村 昭
開高健の文学論 (中公文庫)開高健の文学論 (中公文庫)
古今東西の小説批評に、開高健を律する文学論、たまに喜劇と釣の話。日々てきとうに、悩み無く生きている太平極楽ぼけのわたしには、たまにひっとなる名言が含まれている。
読了日:06月17日 著者:開高 健
中井英夫全集〈4〉蒼白者の行進 (創元ライブラリ)中井英夫全集〈4〉蒼白者の行進 (創元ライブラリ)
途中で終わっている、中断作品が数編。「蒼白者の行進」も「デウォランは飛翔したか」も「光のアダム」も中断といいたくなるような終わり方。「光のアダム」は虚無ばりの一大叙事詩にしようとしてたはずなのに無理矢理流した感じを受けるし、「蒼白者」については著者もはっきり「中断」と言っている。まあ、すぱっと大団円、などというのは野暮ですよ、ということなのでしょうか。 何にせよ、文章の完成度が鬼気迫る者で、さすが「小説は天帝に捧げる供物」です。たまに立ち帰りたくなる一冊。
読了日:06月14日 著者:中井 英夫
美神の館 (中公文庫)美神の館 (中公文庫)
サロメ」の挿絵などで著名なあのデカダン画家、オーブリー・ビアズレーが「えろい」「きれい」「すてき」を思うがままにぶち込んだ作品を書いてやるぜ! と意気込んだ、という感じの小説。うーん、正直、彼は絵描きでよかったんじゃないかな……と思ってしまいましたごめん。澁澤龍彦が訳さなかったら日本では読めなかったかもしれない。でもまあ、奇書であり、たぐいまれなテクストだし、なによりこういう、「やりたい事やりました」っていうのは大好きです。
読了日:06月05日 著者:オーブリ・ビアズレー
ジャガーになった男 (集英社文庫)ジャガーになった男 (集英社文庫)
「カルチェ・ラタン」とか「二人のガスコン」系の、痛快な伝奇もの。虎吉はほんと、ダメなこなんだけど、なかなかあっぱれな活躍であった!頭からラストまでエンターテイメント満載の冒険譚で、エピローグには中島敦のあの作品を思い出した。
読了日:06月04日 著者:佐藤 賢一
涼宮ハルヒの驚愕 初回限定版(64ページオールカラー特製小冊子付き) (角川スニーカー文庫)涼宮ハルヒの驚愕 初回限定版(64ページオールカラー特製小冊子付き) (角川スニーカー文庫)
今回のテーマは「パラレルワールド」。分岐の原因となった「新勢力」の件は、どうも作者はホンキでこのまま終わらせたいように思います。確かに、勧善懲悪、キッタハッタのサイキックバトルものは、21世紀的云々以前に谷川流的ではないような。 一方でこの箱庭的な世界観に、激しい違和感も感じます。佐々木の独特の倫理観や、少年少女のみで完結する「世界的」事件っていうミニマムな物語世界に、「そんなもんじゃないぜ」を感じます。閉塞的な「世界」観に対して、対象読者たちは、ほんとになにも思わんのかしら。
読了日:06月03日 著者:谷川 流

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