日月星辰ブログ

Vive hodie.

本でもまとめるか。

月初ですしね。

5月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:4630ページ

もうすぐ絶滅するという紙の書物についてもうすぐ絶滅するという紙の書物について
「車輪と同じぐらい改良の余地のない発明」と言われる「書籍」について、本マニアの碩学たちが語る本。2000年以上の間、文明を支え続けた「書物」について、いろいろなテーマで切り取った本、というのがふさわしいと思う。「焚書」や「火事」で失われた書物や、読者によって価値を付加されていく名作、それにやっぱり、検閲問題。日本の事について書かれているページはわずかだが、(カリエールが携帯小説をご存知とは!)出版不況に加えて東京都の例の条例が話題になっている日本では多分かなりタイムリーな本。
読了日:05月31日 著者:ウンベルト・エーコ,ジャン=クロード・カリエール
カポネ 下 (角川文庫)カポネ 下 (角川文庫)
帝王の受難、正義のしんどさ。「カポネ」の下巻はエリオット・ネス編。このエリオットがまー、中二病患者、いけ好かない勘違いやろう、さらに長じてアル中という最低やろーなのがまた面白い。最低やろーは正義を背負うしんどさに凋落し、暗黒街の帝王・カポネもまた……。  ラストは思いのほかさわやか。日本人でも知っているアメリカの超人・カポネは21世紀の今でも輝かしい希代の“悪党”だ。
読了日:05月26日 著者:佐藤 賢一
カポネ 上 (角川文庫)カポネ 上 (角川文庫)
イタリア系移民の少年アルがアメリカでギャングの道を進みアル・カポネとなる。さすが佐藤賢一、というような歴史や風俗の考証へのこだわりが、娯楽小説としてのカポネもの、というよりは、歴史小説・カポネ伝、という感じ。また、各移民たちの出身地の物語こそが作者のホームグラウンドとあって、ヨーロッパ史と地続きのアメリカ史、のような感じすら受ける。
読了日:05月24日 著者:佐藤 賢一
漢文法基礎  本当にわかる漢文入門 (講談社学術文庫)漢文法基礎  本当にわかる漢文入門 (講談社学術文庫)
二畳庵先生かっこいい! 600ページに迫る大著、詳細にして軽妙な語り口、まさに名著! 大学入試は遠くなりにけりだが、ここに書いてあることの半分はなおざりにして乗り切ってしまったなあ。白川静ブームもあるし、ここにあって漢文に立ち返ってみるのも、日本語理解には有用なことじゃないのかしら。 漢文のみならず、日本語の機微についても、深く考えさせられる本でした。本当に奇麗で巧みな文章は、深い言葉の理解から生まれるんだなあ……
読了日:05月22日 著者:二畳庵主人,加地 伸行
王妃の離婚 (集英社文庫)王妃の離婚 (集英社文庫)
今まで読んだ佐藤作品の中でも出色の作品。物語の絵になる感じも、ダイナミックさも、一番すごかった。あとジャンヌ王妃が健気でかわいい。佐藤作品のヒロインって女性からすると鼻に付くタイプが多いんだけど、ジャンヌ王妃はイイ!
読了日:05月17日 著者:佐藤 賢一
金曜日にきみは行かない (角川文庫)金曜日にきみは行かない (角川文庫)
2人称で始まり、主人公の人格がふたつにも3つにも別れ、時制が混乱するファンタジックな構成が実験的。日本語ならではの、主語がハッキリしないとか、省略されがちだとかいう言語的欠点?が、こんな構成を可能にしたのではないでしょうか。 物語は、父殺し、近親相姦と、自我の混乱。ラストにはやっぱり、主人公は社会的に抹殺されてしまうが、やがて彼は回復するのかな。希望もすこし残されている。混乱による「戸惑い」が原動力になって、先へ先へと読み進めてしまった。
読了日:05月13日 著者:盛田 隆二
嘔吐 新訳嘔吐 新訳
私には決して分からないだろう!と思いこんでいた、サルトルの嘔吐。明晰な翻訳と丁寧な解説で何とかついて行った感じ。迫ってくるマロニエの根っこの存在とか、不在の人物が醸し出す不安とか、彼女との再会における対話、独学者の悲劇のシーンはなどはついのめり込むように読んでしまうエキサイティングなシーン。もっと難解でつまらないかと思っていました、ごめんなさい。
読了日:05月10日 著者:J‐P・サルトル
剣闘士スパルタクス剣闘士スパルタクス
ローマに囚われたトラキア人剣闘士スパルタカスの物語。最強の戦士スパルタカスをコンプレックスと自尊心の狭間に揺れる人物として描く視点は、「黒い悪魔」にも通じるテーマ。憎々しいライバル、クリクススや、世事に長けた親方レントゥスなど、面白い脇役も配され、物語として楽しめる。奴隷剣闘士たちの脱走のシーンは緊迫感と爽快感たっぷりに描写され、盛り上がります。ラスト思わぬ人物がチラリと顔を出すのも、佐藤作品ファンなら嬉しいところ。
読了日:05月08日 著者:佐藤 賢一
ジャンヌ・ダルクまたはロメ (講談社文庫)ジャンヌ・ダルクまたはロメ (講談社文庫)
佐藤賢一の短編集はいまのところ、これ一つ? 15〜16世紀のイタリア/フランス/スペインを描く作品群。ジャンヌ・ダルクのサイドストーリーを描く2編と、セルバンテス風のカスティリア王国のロマンス、レオナルド・ダ・ヴィンチを巡る3編。夢を追い、野望を求める男と、現実を見つめ、静かに生きる女の対比が、それぞれの作品に面白い。
読了日:05月05日 著者:佐藤 賢一
黒い悪魔黒い悪魔
拍手喝采! 文豪・アレクサンドル・デュマの父、将軍アレクサンドル・デュマの一代記。彼自身のアイデンティティを悲しくなるほど愚直かつ、ひたむきに求めた男! 完全無欠のヒーローだからこそ、ラストの悲哀は計り知れない。「カルチェ・ラタン」「二人のガスコン」などでも描かれた男同士の友情に加え、夫と妻、父と息子の絆が肯定的に描かれているのが、「ジャックリー」や「オクシタニア」のテーマとはまた違った、明朗なエンタテイメントになっている。デュマ家三部作の1だからには、そういうテーマになるのは必至だろうか?
読了日:05月05日 著者:佐藤 賢一
青春ピカソ (新潮文庫)青春ピカソ (新潮文庫)
ピカソに出会い、感動し、それを打ち倒し超えて行くと宣言する岡本太郎。反逆と対決の画家自身の生の言葉で描かれるピカソ論はびりびり鋭い。後に、ピカソと岡本はアトリエで親しく語り合うのだけれど、ピカソが心を開いたのは、たぶん、岡本太郎にならば、彼の『ことば』が通じるにちがいない、と直感したからじゃないか。
読了日:05月03日 著者:岡本 太郎
オクシタニアオクシタニア
後半まさかの超展開! なんか、この後の佐藤作品、これなしでは読めないのでは?十字軍とカタリ派の抗争、アルビジョワ十字軍をベースに神や運命、生と死を問う作品。ラモン7世と修道士エドモン、完徳女ジラルダのそれぞれの運命が交錯しすぎてびっくりです。プロローグ読んでもこの展開は予測できんと思う。
読了日:05月01日 著者:佐藤 賢一

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