日月星辰ブログ

Vive hodie.

太田記念美術館 江戸浮世絵展

 妖怪画の展覧会などをやっていたので、ぶらりと入ってみる。ぶらり途中下車の旅。一緒に観ているひとのほとんどが外国人でした。浮世絵なんか日本人観ないのか。結構キャッチーな題材だと思うけどなあ。ゲゲゲの鬼太郎、大ヒットしたんでしょ。
 なにが興味深かったって、北斎の手による素戔嗚尊の大冒険画。あとあれですね、江戸三代女性幽霊の「かさね」たん。おきくたんとおいわたんは美人だから、人気があるけど、かさねたんは美人じゃないのが禍して人気が今ひとつ。でもね、いまやかさねたんのじだいだと思うのですよ。
 かさねさんは農家の娘さん。長者だったかなにかで、財産目当てに結婚された男に殺され、その無念が幽霊となってあらわれるのですが、も、浮世絵内でも酷い扱いでした。おきくさんとかめちゃくちゃ美人なのにね。おいわさんの場合は、美人が顔が崩れてしまう壮絶はあるけれども、かさねたんはそうじゃない。いわば「しこめだから殺された」という不憫さ。これはね、もえキャラですよ。いまだったら「実は現代的にはかわいかった」みたいな設定でアニメ化すると良い。
 アニメ化と言えば、あの人ももえキャラでした。和漢百物語にでてきた、女の人。松の木を引っこ抜いたとか、怨霊を諭したとか、かっこいい伝説がいろいろ残っている、女性。あーでもね、名前を忘れた。うーんもったいない。もう一度行くか、太田記念美術館
 月岡芳年の絵は良いですね。無残絵よりも幽霊とか、月とかが出ているもののほうが、好み。夕顔の幽霊の絵なんて素敵でしたよ。芳年は「月岡」というぐらいで、月の絵をがっつり描いていた人らしいです。月の表現が良いのです。はかなげで、影だけで、月だけで幽霊みたいです。

 日本の幽霊話は、結構「無念」とか「やりきれなさ」とかを生きている人が代弁してあげているようで、よくよく聞けば人情もの、というか。怖くはないですね。それよりも現実の人間の方が怖かろう。かさねたん伝説だって、男の方が怖いわ! 呪い殺されてよし。
 ほかにも、東海道宿上で泊まったお客の頭を石でたたきつぶして金品を奪っていたおばあさんとか、これは普通に生きている人間なのですが、幽霊よりもずっと怖い、です。昔から人間は、生きている人間の方がよっぽど、怖いのでした。