日月星辰ブログ

Vive hodie.

らくご

今日は社長に券をいただいた「東西三人会」に行って参りました。初めての国立劇場・演芸館です。
演し物は「干物箱」柳家小里ん、「禁酒関所」笑福亭松喬、「藪入り」古今亭志ん橋でしたが、途中からで「干物箱」は聞けませんでした。なんと残念。残業が押してしまい、というのも明日お休みを取るのでいろいろ間に合わせておきたく、ぐずぐずしていたらなんと1時間の遅刻。うむむ。
 よって前座の方や漫才なども聞けず、いわばおいしいところ取りとも言えなくもないずるい見方をいたしました。
 何しろ「東西三人会」ですから、上方落語をきかにゃ来た気がせん、そればっかりは間に合わなければ、と急いだので、何とか松喬には間に合った。ちょうど枕のはじめあたりで滑り込み。落語会のお酒のみの話を割と長めに振られていたので、なんとか間に合った。酔っぱらいのたちのわるさとか、憎めなさとか、無論そんなのはお役人の方だったりとか、商人(この場合、小僧さんなんでしょうか)のあの手この手だとか、風刺とちょっと下ネタ、何より浪速あきんどの「もらいま!」だの「やさかい…」だのといった語尾やイントネーションが惚れる。
 仲入の後、志ん橋の「藪入り」。ちょうど息子さんが帰ってきたあたりで地震が。客席が「地震だ」「地震だ」と騒ぐ中、もうお話に入ってしまった高座のほうは、あわてずさわがず続けていらっしゃるのがさすがプロだと思った。プロって言っても、「地震ですなあ」で住まない世界の、本物のプロだと思った。幸いあまり大きな地震でも無かったので、国立劇場崩壊! とはならずに滞りなく。ちょうど藪入りの息子さんが両親にごあいさつしているところだったのよ。結構見せ場なのに、地震で水を差されてしまったにもかかわらず、ただお話を続けるだけですぐに客席は話の世界に帰って行く。確かに客席の誰もが、一刻も早く「藪入り」の世界観に帰りたいと思っているのだが、相当引きつける力がないと、こんなにすっと帰ってこれるものでもない。結構揺れが長かった地震だったので、まだ「揺れてる?」って感じでもお客さんが安心して笑っている。
「藪入り」は、初めて藪入りの子供を迎える両親が主人公だから、まあまあよく大きくなって、帰ってきて…っていう、感涙ものの場面が延々と続くのだが、もちろん退屈はしない。男親の熊さんがかわいらしい。きっとね、お店系で働いた事ないんだよこの人。大工とか、職人とかそう言うところにご奉公に行ってたんだよ、という感じで、息子の営業系ばりばりトークに気圧されたりして。
 かなりおもしろかった。新宿では毎日のように落語が聞ける場所があるらしい。今度ちょっと行ってみたい、と思った。